大今良時の新作『不滅のあなたへ』、謎の球体による世界冒険ファンタジー【漫画レビュー】

謎の球体が世界へ投げ込まれた。
その”球”は石、コケ、オオカミ、
そして人間へと姿を変え、世界をさまよう。

これから、漫画を中心として気になったエンタメ作品をブログで紹介していきたいと思います。
今回は『聲の形』の作者・大今良時先生の新作コミックス、
『不滅のあなたへ』(「週刊少年マガジン」連載中)をご紹介します。

あらすじ
何者かの手によって世界へ投げ込まれる謎の球体。
それは意志を持っていなかったが、
あらゆるものの姿に変化することができ、
石、コケ、オオカミへと姿を変え、世界をさまよった。
やがて、雪原に一人残された少年と出会い、
一緒に生活することで、少年の形を獲得した。
“球”は刺激により、姿を獲得する。
少年が未知の世界へ憧れたように、
その”球”は、また別の刺激を求め、世界を再びさまよう――。

 

この”第1話、第1ページ”がすごい!

手から”球”が放たれる様子がセリフもなく静かに描写された第1話の第1ページ。情報を削いだ冒頭がとても印象的でした。
第1話試し読みページ
ピンポン玉?とも一瞬思いましたが、この1ページだけで何か不思議な物語が始まることを予感させる素晴らしい出だしでした。

 

分からない、主人公”球”の気持ち

物語は”球”を投げ入れた”私”の視点で始まり、”球”を観察している様子がモノローグとして語られて話は進みます。
読者は”球”を投げ入れた”私”と同じ視点になって物語を観察することになります。
“球”から石、コケ、オオカミに変化した”何か”はあてもなく歩き続け、少年と出会います。
第1話では途中で”私”のモノローグは次第に少なくなっていき、途中で出会った少年のセリフが主になって話は進んでいきます。
少年は一人雪原に残され、孤独になった不安な気持ちをオオカミとなった”球”に吐露しますが、”球”は基本しゃべることができず、何を考えているかわかりません。
そもそも言葉を持っていない”球”は何も考えてすらいないでしょう。
しかし、だからこそ、言葉を獲得していない状態で”球”は何を感じているのだろうかと考えさせられ、読者の想像をかき立てる演出になっていました。

 

大今良時の想像力

“球”は少年と別れると、今度は別の少女と出会い、またそこで新たな刺激を獲得します。
“球”が具体的な動機を持たないので、この物語がどう進んでいくのか、うまく想像できません。そういったよく分からなくて冒険的なところが、この漫画の面白さではないでしょうか。
続刊でも存分に大今先生の想像力を味わえるのではないかと思います。

(VTANKスタッフ)

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